きっかけは、
疑うつもりのない確認だった。
僕は妻に振り込みをした。
ちゃんと入ったかなと
携帯で確認をした
ちゃんと入ってて
良かったと思いながら、
その日はたまたま
子どもの習い事のお金を
その流れで、前の月、2カ月前と
指をスライドして確認した。
そこで、
一つの名前が目に入った。
まったく知らない名前、
というわけじゃない。
どこかで、
何度か耳にしたことがある。
でも、
はっきりとした関係性は思い出せない。
仕事のお客さんだったような。
友人とも言えない。
ただ、
「引っかかる」
それだけの存在だった。
入金は一回きり。
金額は、
友達では送り合わないような額。
だからこそ、
余計に不自然だった。
理由があるなら、
話してくるはず。
関係がないなら、
そもそも入るはずがない。
その名前は、
通帳の中で、
妙に浮いて見えた。
その場では、
何も言わなかった。
疑うほどの材料はない。
でも、
見過ごせるほど、
軽くもなかった。
この時点では、
まだ確信はなかった。
ただ、
心の奥で、
小さな警告音が鳴り始めていた。

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